3月も今日でおしまい。
同じ春の季節でも3月と4月では随分と趣きが違います。
別れの春3月、出逢いの春4月
冬の間に活躍した大切なファッションアイテムは、きちんとケアをしてから新しい出逢いのシーズンを迎えたいものですよね。
さて、冬物衣料をすべてクリーニングに出していたら、ものすごい出費になりませんか?
今日はクリーニング代を節約しながらできる冬のファッションケアのコツについて書きます。
ウール(毛)の特性とは?
はじめに、冬物衣料の素材の代表であるウール(毛)の特性と、水とドライクリーニングの違いについて、少しお話しいたします。
1.ウール(毛)は人間の髪の毛と同じです。
人間の体の表面は、ばい菌から体を守る為に弱酸性です。
よく洗顔料やボディ用の洗剤は弱酸性が良いと聞いたことはありませんか?
髪の毛もそうです。
ですので、アルカリの強い洗剤で洗うとボサボサになります。
必ず水で洗う場合は、中性(PH)洗剤を使用します。
2.ウール物は、急激な温度の変化と、洗濯機で回すことで縮みます。
獣毛も人間の髪の毛と同じように、キューティクルのような「うろこ」状の物が付いています。
温かい状態から水の中に入れると、それが開いてしまいます。
その状態で洗濯機を回すと、ちょうどバラ線をかき回すのと同じ状態になって、繊維と繊維が絡んでしまうのです(縮むのではなく)。
フエルトは、この特性を利用して製品にしています。
一度このような状態になると、通常の繊維の縮みとは違い、ひっぱっても元には戻らないくらい縮んでしまいます。
縮むというより、絡んでしまうのです。
ドライクリーニングでは、油等で洗うため、この「うろこ」が開かないのです。
ですので、ガラガラ回しても縮みません。
ドライクリーニングとは?
ドライクリーニングは、石油系の洗剤(油)で洗っているのです。
(お店によって、色々な溶剤を使用していますが。
そして、多少の水分と界面活性剤は入っています)
ですので、汗汚れ、タンパク質汚れは、あまり落ちないのです。
確かに、見た目はきれいになっているので、「きれいになった」と思いますが、顕微鏡レベルの話では、このタイプの汚れは、あまり落ちていないのです。
水洗いの方が、繊維の間の汚れがきれいに落ちます。
ビジネススーツのズボンなどは、夏場だけでも、2回に1回は水洗いの方が良いと思います。
もちろん、綿シャツなどは水洗いがよいと思います。
では、次に自宅で冬物衣料をクリーニングする方法をご説明します。
家庭でウール(コート、スカート、パンツ)を洗う方法
STEP1
洗剤は必ず、中性(PH)の酵素入りの(食器を洗う中性洗剤は不可)洗剤を使います。
STEP2
温度40度くらいのお湯で洗います。
この時の温度は、ぬるすぎるくらいでちょうどよいです。
STEP3
もみ洗いではなく、押し洗いします。 その後20分位浸けておきます。
この20分間で、酵素が働くのを待ちます。
STEP4
ゆすぎは、ぬるま湯で、あまり動かさないようにすればOK
最後は、リンス剤(柔軟剤)を使用してもよいでしょう。
STEP5
あとは型くずれしないように注意して、日陰に干せばOKです。
コートなどであれば、厚みのあるハンガーにかけてお風呂場などで一旦、水がしっかりきれるまで干します。
STEP6
乾燥後の仕上げですが、実は、一着30万円のスーツでも「水洗い」で大丈夫なのです。
ただ、アイロン仕上げがとても大変なので、スーツはプロに任せた方が無難かもしれません。
(家庭用のアイロンではちょっと無理だと思います)
このアイロンがけだけは、テイラー(仕立屋さん)の技術が必要です。
普通のお店ではあまりできないと思います。
スカート等はあて布をあてて、霧をかけて、しっかり押しても大丈夫です。
上質なウールほど、霧をかければ きれいに元に戻ります。
この時、汚れが残っている、落ちていない、シミがある状態で、蒸気をかけると一生落ちなくなりますので注意してください。
他にも、毛混で毛が20~30%位の学生服は水洗いでOKです。
ウチは、学生服は一度もクリーニングに出さず、自宅で洗っていました。
洗濯機で1分位ガラガラ回しても大丈夫です。
最近の学生服は、扱いやすい素材になっていますから、ぜひ自宅洗いをお試しください。
ニットをふんわり仕上げる洗い方
STEP1
まず、洗剤は汚れを落とすことを重視したものよりも、繊維を保護する成分が多いものの方がいいのでおしゃれ着用の洗剤を使います。
STEP2
洗うときは、お湯ではなくてぬるま湯(40度以下)を使います。
毛糸は、お湯につけたり、水のなかで激しく動かすとフェルト化して硬くなり形が崩れるため、手で押し洗いをします。
その際、型崩れを防ぐには厚みのあるネットでのり巻のように巻いて洗うのがベストです。
STEP3
その後、一度真水で押し洗いしてすすぎ、最後に軽く絞ります。
このとき絞りが強いと、シワが多くなり風合いも悪くなってしまうので注意します。
STEP4
脱水するときは、洗濯機が脱水を始めて高速回転に切りかわってから10秒くらいで止めるのがポイント。
STEP5
洗濯機から取り出したら、すぐに平らなネットの上に広げて乾かします。
きついシワが入っているときは、濡れている状態でアイロンの蒸気を当てて取っておくのもコツ。
STEP6
ニットが乾いたら、最後にアイロンでたっぷりの蒸気を当てるとふんわり仕上げます。
量ではなく、質にこだわる→実践、シンプルライフは上質に。50代にオススメ、おしゃれニットまとめ
ダウンコートを保管するときに注意すべきことって?
長期間保管していたダウンコートが変色してしまった、または色が抜けてしまったという経験はありませんか。
以前、ユニクロで買ったゴールドっぽい色のウルトラライトのダウンコート。
しまっておいて次のシーズンにだしたら、ところどころ色がピンクっぽく変わっていました。
どうも繊維によっては、日光だけでなく蛍光灯の紫外線などでも簡単に色が変わってしまうものがあるらしいのです。
それ以降は保管するときには光が当たらないように注意をしています。
今までなら、ダウンコートはクリーニング専門店にお任せしていたと思います。
ですがユニクロで買うダウンは5000円以下のこともあります。
5000円のダウンジャケットに、クリーニング代2000円? ということもあるかと思います。
なので、最近はダウンコートも自宅で洗濯しています。
ダウンコートで一番気になるのは、襟元の汚れ。
首回りの汚れさえとれれば、あとは全体のうっすらした汚れのみだと思います。
コートの数を半分に減らしました→コートを断捨離して、冬のアウターのシンプル化のススメ
ダウンコート、我が家の洗濯方法
STEP1
お風呂にダウンコートがひたひたに浸る程度の水をはります。
そして、その水の量にあったウール用洗剤をいれます。
STEP2
襟元のみしっかりブラシなどで汚れを落とし、あとは軽く押し洗いします。
水を抜いて、軽く絞ります。
STEP3
洗濯機の脱水機能で、また軽く絞って、干します。
STEP4
可能であれば、物干し台などに平たく干すか、もしくは裾の方を上にして(洗濯バサミなどで吊って)、コートの上部が下になるようにして干します。
STEP5
低価格のダウンコート、強く洗ったり、きつく絞らなければ、これで十分汚れは落ちます。
しっかり中まで乾かして(場合によっては温風で乾かし)、日の当たらないところで保管します。
保管の際は、湿気が中にこもらないところを選んでください。
ニットの帽子、マフラー、手袋のケア
ウール(毛)であれば、ニットなどと同様のお手入れでOKです。
革手袋の場合は、スェード、スムースレザーなどの靴のお手入れ方法を参考にしてください。
スエード、ムートンシューズのお手入れのコツ
STEP1
スエードやムートンなど起毛している革の場合は、とにかくブラッシングして毛を起こしてあげることで、汚れもある程度取れます。
ブラシはスエード専用のものを準備しておきましょう。
STEP2
その後、色落ちを防ぎ、撥水もしてくれる専用の無色スプレー をかけます。
スエードは汚れやすいので、靴を履く前後にスプレーしておくことをおすすめします。
スエードやムートンは、普段からこまめにブラッシングをして汚れを定着させないことが大切です。
ブラッシングでは落とせないシミができてしまった場合は、早めにプロに相談することをおすすめします。
STEP3
型崩れしないように、中側に新聞紙などでアンコを作り、いれてから箱にしまいます。
スムースレザーシューズのお手入れのコツ
スムースレザーのお手入れは、この4STEPが基本。
STEP1
ブラッシングして汚れを落とします。
STEP2
靴の色にあったクリームを塗ります。
STEP3
布で乾拭きして余分なクリームを落とします。
STEP4
撥水スプレーをして完了。
スムースレザーの場合、これまでに塗ったクリームと汚れが層になってくるので、半年に1回くらいステインリムーバーと言われるクリームで靴を“すっぴん”に戻してあげることも必要です。
レザーシューズの正しい保管のコツ
しばらく履かないシューズは、しまう前にいつもと同じようにお手入れをします。
半日くらい日が当たらないところで陰干しし、そして余分なクリームの成分を抜いてから箱にしまいます。
このとき、あまり密封しないように注意します。
軽く紙で包むか、購入時に付いてきた専用の袋に入れてしまいます。
可能であれば、数カ月に1回ほどは箱を開けて空気を入れ替えてあげるとよいでしょう。
帽子について
おしゃれに欠かせない帽子、フェルト素材などの中折れハットなどはちょっとしたお手入れで長持ちします。
では、洗い方について説明いたします。
STEP1
まずは、帽子についている取り扱い表示を確認します。
デザイン上、帽子についていない場合もあります。
その場合は販売時のタグに記載している事もありますので、捨てずに保管しておきます。
STEP2
全体のホコリを、洋服ブラシでブラッシング、または軽くたたいて払い落とします。
STEP3
帽子内側の額に当たる部分(汗取り、スベリ)の汚れを、ぬるま湯につけて絞ったタオルでふきとります。 汗がしみやすい部分ですので特に丁寧に行います。
STEP4
乾いたタオルで水分をよく拭き取り、全体の形を整えて風通しの良い日陰で乾燥させます。
汗や皮脂などの臭いが気になる場合は、市販の除菌・消臭スプレーを帽子の内側(裏側)から吹き付けて乾燥させます。
STEP5
雨などに濡れた場合はすぐに水分を拭き取り、よく乾燥させます。
ドライヤーの使用は型崩れの原因となりますので、必ず自然乾燥しましょう。
フェルト素材の帽子はふだんのお手入れの方が大事です。
ホコリや汚れが付着しやすく、ホコリを放置しておくと毛に絡まり取れにくくなるので、日頃からこまめにお手入れをしましょう。
ブラッシングは、帽子用の専用ブラシや、洋服ブラシ(素材は豚毛が適しています)を使います。
毛は時計と逆周りに流れていますので、反時計周りの毛並みに沿ってブラッシングします。
過度のブラッシングは、毛抜けの原因となりますので、注意しましょう。
使った後に、軽くブラッシングしておくだけで、保ちが全然違います。
これは洋服も同様ですから、外出から帰ったら、帽子と服にブラッシングすることを習慣づけておくとよいと思います。
帽子で差がつく→オシャレな50代女性にみる帽子コーデのテクニック
→【失敗しない50歳からのファッション・トレンドの取り入れ方】
帽子の保管方法
帽子の内側にやわらかい布や紙をまるめて詰めます。
ボール紙で作った筒に、帽子を逆さにはめ込み、(中折れ帽など型崩れしやすい帽子はこの方法が理想的です。)帽子の大きさに合った箱に入れます。 箱がない場合は、通気性の良い布で包みます。
天然草の帽子には乾燥剤、毛製品には防虫剤を一緒に入れ、風通しが良く湿気が少ない直射日光の当たらない所で保管します。
高温・多湿な場所、ビニール袋での保管は、変色や型崩れなどの原因となるので、避けましょう。
この状態で保管するためには、ある程度のスペースが必要ですよね。
帽子もこまめにメンテするために、クローゼットに適正な空間を確保しましょう。
さて、冬物衣料のクリーニングとお手入れのコツ、いかがだったでしょうか。
クリーニングに出さなきゃ〜と、クッリーニング代が大変だ〜と気が重くなっていた服も、実は自宅でちゃんとケアできるものがほとんどです。
今回は、パンパンだった衣装ケースを大幅に断捨離したせいで、衣替えの手間もずっと減りました。
少しずつ、シンプル&ミニマムな暮らしに向かっています。
みなさんも、お天気のよい日を選んで衣替え〜新しいシーズンをお迎えくださいね。