毎春の衣替え、「今年の夏が過ぎたら、絶対捨てよう」と思っていたタンクトップがあります。

 

「今年の夏を過ぎたら」を繰り返していたのは、生地のペラペラ加減、襟のスカスカの空き加減がとっても涼しくてパジャマとして最適だから、毎夏着てしまうのですが、夏を過ぎると、捨てようと思っていたことを忘れて、またあのプラスチックケースにしまい込んでいたからです。

 

春にはまだ早い今日、夏を待たずして、このタンクトップは捨てることに決めました。

 

今日は、30年間そのタンクトップが手放せなかった本当の理由を考えてみました。

 

たかが、タンクトップと思うことなかれ

 

このボロボロのタンクトップ、実は30年前に買ったものです。

綿のなんでもないタンクトップ、おそろいでショートパンツもありました。

要は、真夏のパジャマという仕様です。

 

代官山のメイフェアという服飾雑貨の店のセールでバカ買いした時のものです。

このストライプとペイズリー柄、そしてもう1枚は白に赤の水玉模様のもので同じ型紙のタンクトップです。

そのほかに、確か並びのKID BLUEというお店でBLUEのナイトガウンを買いました。

 

その頃はまだ第1次結婚をしていまして、薄給だったんですが、確かボーナス後でセールに行ったんじゃないかと思います。

当時の買い物といったら、本当に安物ばかりを買っていたように思います。

まだユニクロなんてない時代で、どちらかといえばデザイナーズブランド全盛だった頃です。

 

私は、まだ勤め始めて2年目でした。

今までの学生時代のファッション(Tシャツにジーンズ)では、会社にふさわしくなく、さりとて入社2年目の薄給では、たいしたスーツも買えず、いつもなんだか中途半端な格好をしていました。

 

その頃にミニマリストという思考を持っていたら苦労しなかったのにと思います→30年前、すでにミニマリストだったS先輩のこと

 

さて、当時は湘南ではなく田園調布にアパートを借りて住んでいました。

なぜ田園調布という高級住宅街を選んだかは忘れましたが、東急沿線で静かなところで、しかも会社に近いということが大きかったように思います。

 

代官山は、同じ東急沿線で、渋谷から一個めの駅です。

その頃の代官山は今ほどお店が多くなく、それでいて一軒一軒が個性的でかわいいお店ばかりがある街でした。

代官山を歩くと、なんだかおしゃれでセンスのよい女子になるような気がしていました。

 

当時、代官山に遊びに行くとすると、東横線を代官山で降りて、八幡通りのヒルサイドテラスまで歩き、「クリスマスカンパニー」を覘いたりしながら、「ハリウッドランチマーケット(文化屋雑貨店)」でバンダナくらいを物色。

 

ヒルサイドテラスの半地下みたい所にあった「レンガ屋(潰れた?)」でアイスコーヒーとチョコケーキで一休み。

 

「(今はなき)キネティクス」や「メイフェア(も、なく)」 を冷やかして、 「ハラッパA(これも潰れた)」の駄菓子を買って、「シェ・リュイ(健在)」、「ラ・ポムベール(こちらもなく)」等の店に寄ったりしながら、恵比寿に向かい、途中DCブランドの古着屋2~3軒に寄って帰る、というのがパターンでした。

 

「クリスマスカンパニー」、「キネティクス」、「ハラッパA」、「カドリーブラウン」といったお店はHONEYという会社が経営していまして、実は蘭子が勤めていたS社のライバル。

 

でも私は、自社のライバルなのにHONEYの商品の方が可愛くて大好きでした。

そのHONEYも、今は存続していません。

 

代官山自体、今のキラキラ加減から考えると、とてもつつましい街だったと記憶しています。

 

なので、メイフェアのセールで買ったこのタンクトップ(ガバガバなので外には着ていけないにもかかわらず)、買ったことが嬉しくて、なんども部屋の畳(当時は畳の部屋に住んでました)の上に広げて見ていた覚えがあります。

そして、当然、夏のパジャマとしてヘビロテしていました。

 

このタンクトップを着るたびに、「代官山のかわいいお店の服を着ている私」が脳内でイメージされていたわけなんですね。(実際はボロボロだけど)

 

「かわいいお店の服を着ている私」は今の私じゃない。

 

おそらく、このパジャマ、幼児が手放せないタオルケットのようなものだったんじゃないかと(笑)。

 

でも、現実は!

よく見てくださいよ。

このボロボロ加減・・・、今の私に必要だと思えないアイテムですよね(←今、気づく?)

 

「シンプルで上質な暮らし」が泣きますよ。

 

なぜ、今日、手放す気になったのか?というと、衣替えをやめて、おそらくタンス1本にいろいろなものをまとめてみて、引き出しを開けた時、ものすご〜く違和感があったからなのではないかと(他人事のような推測)。

衣替えをしない生活にする→【布団の断捨離】開かずの扉の押入れをスッキリさせた結果

 

今までは、チープなプラスチックケースから出し入れしていたので、このボロボロ、ヨレヨレが全く気にならなかったのです。

 

先日からの断捨離で、これからの自分に本当に必要なもの・・・と考えたら、この30年前のタンクトップ、いらね〜っと、あっさりその気になりました。

 

一緒に、やっぱりボロボロのサンドレスっぽいものも捨てることにしました。

 

そんな風に考えたら・・・まだまだあるある、アナーキー(穴あーきー)なTシャツが(^^;;

 

みなさんにも、こんな赤ちゃんのタオルケット的なアイテムってありませんか。
持っていると安心(私の場合は、若かりしころを思い、その頃のかわいかった自分になれる)アイテム。

もしかしたら、今まで全然スルーしていて気がつかなかったモノかもしれません。

 

自分の中で当たり前になっているルーティンワーク、そういった習慣を変えてみると気づくことがあります。

私にとっては衣替えの習慣がルーティンのそれでした。

 

衣替えをしない生活を目指すようになったら、今までスルーしていたモノ、本当は要らないモノ、今の自分に必要のないモノが見えてきたのです。