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- 真のミニマリストになりたい
先日、本屋に行った時にふと目についたエンディングノート。
最近では終活という名前でご存知の方も多いでしょう。
蘭子本人は、もちろん相当長生きをするつもりではいますが、本人の意思とは別にやってきてしまう老化や認知症というものがあります。
気がついたら、自分が誰だったかわからなくなっているかもしれませんし、元気とはいえ50代主婦、いつどこでポックリ逝ってしまうかもしれない。
今日は、エンディングノートについて書いてみたいと思います。
久しぶりに会った母は、認知症になっていました。
今年初めに届いた、親しかった友人からのメールに衝撃を受けました。
メールの主は、中学校から高校は一緒、大学はちがうものの、就職して結婚してからもずっと仲のよかった親友ともいえる友人です。
そんな彼女、子供を産んでから実家のお母さんと上手く行かなくなり、ここ十数年は疎遠だったとのこと。
意を決して、会いに行ってみたら、半分認知が進んだおばあさんになっていたとのことです。
以下、友人からのメールより抜粋しました。
- - - - - - - - - - - メールはここから
◯◯ちゃん、 今年もよろしくお願いします
この間、会って話した時、母と会って本音で話してみることをすすめられたよね。
やっぱり心配だし、会ってみないとどうしようもないと思い、おかげさまで、なんとか14年ぶりに会うことができました。
会って、本音で話すということが怖くて、家のまわりを何度ぐるぐるドライブしてしまったことか・・・。
(中略)
でも、会ってみたら、かなり年をとった、かなり認知症の進んだおばあさんになっていました。
あんなに紅茶が好きだったのに、美味しい紅茶だと言ってウーロン茶が出てきた時には、(衝撃で)笑ってしまいました。
そして、80代女一人暮らしで、あの大きな家で、他人に迷惑をかけないようにコツコツ暮らしている姿は、もう十分尊敬するに値する母でした。
介護保険も使っておらず、何もしていないので、少しは使ったらどうかしら?と勧めると、認知症が心配らしく「そうね、どうしたらいい?」と素直でした。
今まで、私よりちゃんとしていて、なにもかもできる人だったのに、そんなことすらわからなくなってしまっているなんて・・・。
(中略)
本当に、会いに行ってよかったです。
母への見方が、がらっと変わってしまいました。
XX(娘)が生まれてから十数年、ろくに話していなかった私としては、十分合格点をあげたいと思います。
そして、いろいろ背中を押してくれて、ありがとう。
取り急ぎ、うれしかったご報告まで。
- - - - - - - - - - - メールはここまで
このお母さん、ウチのご近所に住んでいて、たまに商店街とかでお見かけしていたのですが、認知症になっていたとは思いもよりませんでした。
若い頃は、悩んでいる私たちの質問に大人ならではのウィットの効いた答えをしてくれていた、あの綺麗で頭がよいお母さんが認知症になってしまっていることに、大きな衝撃を受けました。
そんなこともあって、自分に何かあった時に、家族が困らないようにしておくのも一つなのではないか、と思ったわけです。
エンディングノートとは?
エンディングノートを直訳すると「最期の覚え書き」。
自分の人生の記録や、残された人に伝えたい情報を書き記した冊子のことをいいます。
もっと細かく言えば、人生の終盤に起こりうる万一の事態に備えて、治療や介護、葬儀などについての自分の希望や、家族への伝言、連絡すべき知人のリストなどを記しておくノートです。
この「エンディングノート(ending note)」という言葉は、実は和製英語(日本でしか使われていなくて、英語圏では伝わらない英語)で、辞書には載っていません。
遺言書とエンディングノートの違いについて
どちらも残された人に対しての伝達事項が記載されているという共通点がありますが、遺言書は(財産分与など)法的効力を持ちますがエンディングノートは法的効力を持っていません。
その代わり、エンディングノートは安価で気軽に自由に作成することができます。
エンディングノートを残す3つのメリット
エンディングノートを残すメリットは3つあります。
1.自分に万一のことがあったときも、家族が困らない。
両親が亡くなった時に初めて後悔したのは、「もっと、亡くなる前に、いろいろなことを聞いておけばよかった」ということ。
「あれは、どこ?」「これはどうしたら?」「お葬式はどんなふうにしたら、満足?」。
貯金通帳の場所から、菩提寺(両親は浄土真宗でした)のこと、戒名などなど、なんとなく親戚の叔父叔母からの情報を元に、あたふたと用意してしまいました。
せめて、親戚筋の把握などだけでもしておけばよかったと後悔後に立たずです。
ましてや、我が家の場合、夫が外国人ですから、どうやっていろいろな処理をしたらよいのか途方にくれるに違いありません(まぁ、途方に暮れてもよいのですが)。
人間、いつ死ぬかなど分かりません
自分がもうすぐ死にそうだと分かっていれば、準備のしようもあります。
問題は、その気がないのに突然死ぬことです。
自分が死んだとき、残された遺品をあの人たち(夫と息子)は、どうするのでしょうか。
またスマホやパソコンのデジタル遺品の問題は?
死んでも見られたくないものの5つや6つは、誰もが抱えているはずです。
蘭子の黒歴史→写真の断捨離、私の基準は「◯◯◯時に見られたくないもの!?」
夫がわからない分、息子に皺寄せがいくかもしれません。
エンディングノートを残しておくことで、家族が困る可能性を低くすることができます。
2.日常生活の備忘録としても使える。
気がつかないうちに、ちょっと惚けてしまったとしても、住所録や連絡先などの情報を1箇所にまとめたノートがあると日常生活でも便利でしょう。
我が家の場合は、親戚筋の連絡先や、祖先の法要のタイミング。
預貯金や保険などのあれこれなども、私しか知らないことがありすぎのような気がします。
そういった役目もエンディングノートは果たすと思います。
3.家族に対する自分の愛情を伝える。
1.であるような「家族が困らないために」という気持ちを、家族に伝えることができます。
日頃は言えなくとも、家族や親しい人へのメッセージを、エンディングノートに残しておくことで、少しでも今まで近くにいてくれたことへの感謝の気持ちが伝わればよいと思います。
エンディングノートの構成
市販で、いろいろなエンディングノートはありますが、自分の気に入った内容でノートで作ったり、パソコンから印刷したりとオリジナルのものを作る方法もあるでしょう。
最近大手の葬儀社では事前相談や葬儀セミナーに来たお客様に、自社のエンディングノートを無料で配布するところもあるようです。
エンディングノートの構成・項目は、おおよそ以下のようになっています。
・自分について、プロフィール(生年月日・家族・家系図・学歴など)
・人生についての思い(死ぬまでにやりたいこと、好きなこと、趣味、思い出、記念日など)
・親族や関係者の情報(関係について・住所・電話番号・葬儀告知の有無)
・介護・治療について(告知はしてもらいたいか・終末治療の希望・臓器提供や献体)
・資産について(銀行の口座・カード・その他金融資産)
・万が一の時の要望(健康状態、病気の場合、尊厳死、臓器提供など)
・葬式とお墓について(何人くらい呼ぶか・宗派・どこでおこなうか・予算・喪主は誰・など)
・遺言的な内容(注:エンディングノートに書いても法的効力はありません。相続や土地の相続について)
・残された人へのメッセージ
・ペットについて
・PCやネット上の情報について(メール・SNSなどのアカウント・PCデータの処分方法)
私の場合、生きている間であれば、メール・SNS、ブログなどを見られて多少気恥ずかしいとも思いますが、死んでしまったら仕方がないと思います。
一番、恥ずかしくて困るのは、まだ生きているのに自分が書いてしまったものがわからなくなることだと思います。
まぁ、それも本人が惚けているとしたら気にならないことかもしれませんね。
エンディングノートを書き始めてみました。
私が購入したのはこちら
星の王子さまのエンディングノートです。
大好きな本なので、これに決めました。
ちょっとロマンティックすぎたでしょうか。
内容が内容だけに自分の人生の集大成、と構えてしまってなかなかきっかけがないと書き始めることができない人も多いかもしれません。
でも本当は、気軽に書き始められて、そしてまた気軽に訂正をできることだと思います。
書き始めるのは、最初の1ページからめではなく、どこからでも始められます。
場合によっては、更新を繰り返して、さらにまた新しく買い換える必要が出てくるかも知れません。
購入したら下書きのつもりでとりあえず書き始めてみるとよいと思います。
構えないで、とりあえず、っていう気持ちが大切なのです。
ある程度埋めたら、定期的に見直して足りない情報をたしていけばOKです。
年始や誕生日が、書きこむ良いタイミングではないでしょうか。
エンディングノートに関しては、切羽詰まった状況(死を目前にして)で書こうとすると、なかなか精神的に辛くなってしまうと思います。
ネット上でのエンディングノート方法
紙での保管が気になる方には、クラウドサービス(インターネット経由で提供されるさまざまなサービス)を使う方法もあります。
現状では紙のエンディングノートには、こういったデメリットがあるかと思います。
- 機密性〜重要な秘密が書かれている事が多いのでそうそう人目につくところには置けない
- 保全性〜火事や地震が起きたときに無くすのが怖い。それ以前に紛失したくない
- 伝達性のバランスの問題〜かといって、自分に万一の時があったら、関係者が見られるような状態でないといけない。
これらの物理的な制約のバランスの取り方が難しいということです。
以上の問題を紙媒体で解決しようとすると、顧問弁護士を雇ったり、公正証書遺言を作成することになります。
そこまでやるのもちょっと・・・という人が、エンディングノートという方法を選択しているわけです。
ここまでくると、そういう方にはエンディングノートのクラウド版(インターネット上)に情報を置いておくことをおすすめします。
そうすれば先ほど述べた物理的な制約から解放されます。
現在では、エンディングノート機能に特化したいろいろなクラウドサービスが生まれています。
ただ、これらのサービスにもリスクがあります。
それは、継続性の問題です。
こういったサービスは、少なくとも数十年の継続性が必要ですが、過去ブログサービスなどでも撤退する企業がたくさんあったように、エンディングノートのクラウドサービスにも同様のリスクが存在することを考えなければなりません。
一長一短ですね。
エンディングノートを書き始めて気付いたこと
やっぱりミニマリストを目指すということ。
細々とでもよいから断捨離は進める、そして生活をシンプルにしていくということ。
エンディングノートの項目を一つ一つ書き出していくと、まだまだ未決のものがありすぎるということに気付きました。
そして未決だけでなく、無駄なものも見つけ出すことができます。
ノートに書き出していくと、紙に書き記したものだけでなく、リアルな荷物のことも考えらえました。
現実上に残ってしまったモノほど、残された家族を困らせるものもありません。
今も、モノは増えて続けていますが、買うものは厳選してシンプルで上質な暮らしを目指すようにしています。
私は私自身が生きたという証があるだけで充分だと思う→お墓を断捨離し、シンプルな気持ちで人生を全うしたい。
自分が死んだ後のことは開き直る。
さて、自分が死んだ後のことは、自分にはもう関係ないできごとです。
生きている人間が、それをどう思おうが、それはそれ。
気にせず、処分を人に委ねてよいと思います。
目指すは、「人生の終わりはこのエンディングノート1冊」くらいの気持ちで。
ここまでくれば、真のミニマリストなのでしょう。